北九州市立大学大学院
国際環境工学研究科 瀬戸口 桃香さん
理系の魅力、女子中高生に
伝える
インタビュー
- ◆なぜ北九州市立大学に進学したのでしょうか
大学受験を控えた段階で、理系に興味はあったもののまだ自分がやりたいことは見つかっていませんでした。北九州市立大学の環境生命工学科のホームページを見た時に「ミクロのことからマクロのことまで」と書いてあり、この大学なら4年間かけて幅広い分野から自分に合った研究テーマが見つけられると考えました。また私の代から「飛び級」制度が出来ました。昨年秋に3年半で学部を卒業し、大学院に入学。院も通常2年のところを1年半で卒業する予定です。
- ◆大学ではどのような研究をしていますか
骨が出来る過程などを調べる研究室に所属していますが、私は白血球細胞がどのように短時間で接着して炎症を抑えるのか解明しようとしています。この研究室は工学部なのに理学部的なアプローチが特徴で「この現象がどうなっているのかを突き止めよう」などと、「考えることの大事さ」を教えられています。将来、私の接着機構の研究が炎症反応を和らげるような新薬の開発につながればいいなと思っています。
- ◆研究以外ではどのような活動をしていますか
留学したかったのですがコロナで実現できず、学研都市にある留学生会館を訪れました。そこで出会った人との縁で留学生と交流するようになりました。学研都市内にある地域ラジオ局で留学生をゲストに迎えたラジオ番組のパーソナリティを半年間務めたこともあります。コロナで登校できない留学生たちにも日本語の勉強になったのではないかと思います。
また理系女子を増やすためのプロジェクトにも参加しています。中学校を訪問したり、高校生に向けてのイベントに北九州市立大学代表として参加したりして理系の魅力を伝えています。彼女たちに「理系もいいね」と思って貰えると嬉しいです。
- ◆学研都市でのくらしはいかがでしょうか
住まいは福岡市内にあり大学まで2時間かけて通っています。土日も研究室にやってくることが多く研究に専念できる環境に魅力を感じています。また学研都市は「距離が近い」のも魅力です。他の大学もすぐ近くなので、自分から動けば関係を作れるし、敷地もコンパクトなので人との距離が近く学科と関係なく友達ができます。また教授との距離も近いので頑張りを認めてもらいやすい環境です。アットホームなところが学研都市の魅力ですね。
九州工業大学大学院
生命体工学研究科 山﨑 駆さん
高齢社会のリーダーめざし
起業
インタビュー
- ◆大学での研究内容を教えてください
もともとロボットに興味があったのですが、研究していくうちに産業用のロボットよりも人間とロボットの協調の方に興味を感じてきました。特にサポートを必要とする人たちにフォーカスを当てるようになり、福祉の分野に特化した研究をするようになりました。今は福祉にロボティクスを導入する研究を行っています。肩が上がらない人に後ろから服を着せてあげる着衣介助ロボットの開発や、障がい者の就労に際してロボットを活用することで作業の負担軽減が出来ないかなど研究しています。
- ◆学生プロジェクト「すぐ創る課」とは
2年前に⽴ち上げた九州工業大学の学生プロジェクトです。私の大学での研究は、実際に社会貢献するまでには長い時間が必要です。そのため実装できることはすぐやろうと立ち上げたのが「すぐ創る課」です。主に3Dプリンタを使って障がい者の方や介護が必要な方に役立つパーツを作ったり、それを自分たちで作れるように3Dプリンタの体験教室を通じた技術指導などしたりしています。博士課程の1年生ですが、企業との協業も増えてきたためこのプロジェクトの発展形態として学内で「共創テクノロジー」という合同会社を立ち上げました。今、学内の事業化支援センターにシェアオフィスを構えています。学発ベンチャーなので賃料の減免処置もあり助かっています。
- ◆学研都市の環境はいかがでしょうか
学研都市の立地する地元・若松の出身です。子供のころはここで研究者になるとは思ってもいませんでしたが、実際に研究してみるといい環境だと思います。九州工業大学は一つの建物にコンパクトにまとまっているし、他の大学も近くにあるので異種分野の交流もすぐできます。学研都市の中に最近、コワーキングスペースが出来たので大学を越えての研究にもチャレンジしたいです。企業と学生とのマッチングも進みベンチャー創出にもつながるのではと思っています。
- ◆将来のビジョンを教えてください
北九州市はいちばん高齢化率の高い政令市です。デメリットと捉えがちですが、高齢社会に対応した研究開発がやりやすい環境ともいえます。これから世界が高齢社会になってきたとき、北九州市がリーダーになれる可能性があると考えています。かつて北九州市は公害に悩まされた町でしたが、今ではエコの町。逆境を利用して成長する力強さを持っている都市だと思います
早稲田大学大学院
情報生産システム研究科
于 昕光(う・きんこう)さん
多くの留学生、温かい雰囲気が魅力
インタビュー
- ◆早稲田大学に進学した理由を教えてください
中国の大学を卒業し10年前に日本に留学してきました。最初の2年は日本語の勉強をしてから大阪の大学に研究生として1年間在籍しました。その後、日本語学校の先輩に進路を相談したところ九州工業大学を紹介してもらい、北九州に移住。修士課程は学研都市内で過ごしました。さらに学研都市内で隣接するこの研究室に興味が出たため早稲田大学の博士課程に入学しました。
- ◆どのような研究を行っているのでしょうか
太陽光発電のパネルの研究を行っています。従来の発電パネルははんだでコーティングされた銅リボンやワイヤで接合していますが、年月が経つとひび割れたりして発電効率が下がってきます。そこで私はニッケルメッキでの接合技術を研究。これを使えば高能率のまま、パネルの耐用年数を延ばせるという研究結果が出てきています。
将来的には中国で普及し始めている太陽電池パネルを備えた街路灯を日本に導入したいと考えています。街路灯の周りに発電設備をつければ照明の電力は賄えます。充電式なので災害で停電したときなどにも役立ちます。
- ◆就職活動はどのように行ったのでしょうか
FAISでは留学生が参加できる就職支援プログラムを行っており、それを活用して就職が決まりました。留学生のために自己ピーアールの方法や履歴書の書き方、面接での受け答えの方法などを事前にレクチャーしてくれるプログラムです。社会に出るのは初めてですが、太陽光関連の企業ですので就職しても研究を続けたいなと思っています。
- ◆学研都市でのくらしはいかがでしょうか
留学生が多いので異文化体験が出来るのが大きなメリットです。国や宗教を超えた交流ができ、エジプトやスロバキアの友人もいます。コロナ前は留学生を含め、学生同士で毎週「金曜酒場」と称して近くの量販店からピザなどを買ってきて学内で交流会をやっていました。
これまで様々な場所で学んできましたが学研都市はいちばん雰囲気が温かく感じる街です。ここには立地している大学間の共同開発センターがあり、自分の研究に必要な装置を借りることが出来ます。早稲田の学生は他の大学のものを使えるし、逆に早稲田の学生が他の大学を手伝ってあげることもあります。こうした環境は研究に向いているし、温かい雰囲気につながっているのだと感じます。